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勝手に最遊記

勝手に最遊記

海賊気分でア○ア○サー!―8

――――――――ブロオオオンンンッッッ

エンジン全開ベタ踏みで、板を逆走するジープ。

「うわぁっ!」
「アヒィー!」

途中で何人かの海兵を引っ掛けたらしく、ボチャーンバチャーンと派手な水飛沫があがる。
それにも構わず、怒濤の勢いでジープが海軍の船に乗り付けた。

「モモカ!」
「モモカすわぁん!」

「あたしがルフィを助ける!皆、適当に時間稼いでっ!!」

言い捨てるやいなや、メリー号とは比べようの無い程に広い甲板を、桃花がジープで激走し始めた。

「ジープ!頑張ってっ!!」
思い切りカーブしながら、勢い良く桃花だけ飛び出して帆柱に飛び付いた。
「追えっ!麦藁に近寄らせるなぁ!!」
桃花の後を、海軍が追い掛けようとするのをジープが阻止する。


「・・・追わせるかよっ!三刀流“百八煩悩鳳”!!(ひゃくはちポンドほう)」
「クソ海兵どもがっ!仔牛肉(ヴォー)ショット!!
「――――――――三十輪咲き(トレインタフルール)“ハング”

桃花へと向かう海兵達を、ゾロとサンジが蹴散らし(吹き飛ばし)、ロビンが足止めをする。


衝撃貝!!(インパクト)」
「ウソップ“粉砕”~!!(パウンド)」
数では圧倒的に勝る海軍らを、ナミやウソップがメリー号を護りつつ必死に応戦。

「危ないっ!モモカ!!」
チョッパーの小さい眼が飛び出した。

ルフィの囚われている帆先まで、後もう少しの位置。
数メートルの距離まで登り詰めた桃花の目の前には、

「命が惜しかったら大人しくしろっ!!」
ギラリと刃を光らせた海兵が。


「――――チィッ!」
「クソッ・・ロビンちゃん、どうにかなんねぇかっ?!」
「無理よ。・・・距離があり過ぎるわ。」

大方の海兵達を沈めた物の。小さなメリー号とは違い、馬鹿でかい海軍の船。
その中心にそびえ立つ、二本の帆柱で対峙する桃花と海兵・・・


「命が惜しいのはアンタじゃないの?」
「ふっ、ふっふっふざけるなぁ!!我ら誇り高い海軍が、海賊相手に命を惜しむかっ!!」
まだ幼さの残る顔は蒼白で。握り締めた刀がブルブルと震えている。

『まいった・・・退いてくれそうもない・・・』
どうやら修羅場には慣れていない、若い海兵。戦場に置いて、自分の力量や立場を判断出来ない事は致命傷だ。

『グズグズはしてらんない・・・』
チラリと背後に目をやれば、ゾロやサンジの攻撃の間を縫って追って来た海兵達が迫って来ている。

「おっ、オレを焼き殺すなら、麦藁も一緒だ!そしてお前も・・・」
海兵が刀を桃花に向け、グィッとルフィの首を抱え込む。

「・・・相手が悪いんだってば。」
ニッコリ笑った桃花。



眼を見開いたのは、海兵と麦藁海賊団。


スゥッと息を吸い込み、体をしならせた。  そして、次の瞬間―――――「・・ぉいっ?!」


その距離数メートルとは言え、甲板からゆうに20メートルの高さのある帆柱から帆柱へ。



しかも、刃を構えた海兵が居る場所へ





翔んでくるなんて、誰が予測しただろう―――――――――「ぅぅわあああっ!!」





――――――振り回す刃が、桃花の頬を掠める・・・ゴォォオオンッ―――――







「ルフィ君っ!!」


必死に伸ばした手で、全身で、ルフィを抱きしめた。



「スッゲー!!スッゲー!!」
渦巻く炎がモモカと自分を包み込んでいるが、全く熱を感じない。そして、徐々に収まっていく炎。


「・・・良かった~・・・間に合って・・・」
桃花がホッと胸をなで下ろした。
殺気を持っている人間に反応するブレスレット。その人間が近距離に居た為に、ルフィまで巻き込む危険性があったのだが。


「あたしって悪運強いしっ!!」ワハハと笑ったのだが・・・・「え?ルフィ、君?」
気が付けば何故だかルフィの肩に担がれている。

「お前のお陰で自由になれたからな!今から反撃だっ!!」
「あ、とりもちが焼けて・・・・ぇ?ええっ?!!」



ゴームゴムのぉぉおおおっっ!!
「まっまっまっ・・・待って!!降ろしてっ!おろっ・・・」

桃花を肩に担いだまま、片手を凄い勢いで回しはじめたルフィ。


・・・・弾丸っ!!



蒼い空に、桃花の絶叫が響き渡った・・・・・・


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